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令和3年の相続税調査の動向について

令和41216日に名古屋国税局より令和3年度の相続税の調査事績の概要が報道発表されました。

令和2事務年度は新型コロナウィルスの影響を受けて名古屋国税局管内で約1500件あった調査件数が600件程になるなど調査件数は大きく落ち込みました。令和3事務年度はまだコロナ前までには回復しておりませんが、名古屋国税局管内で約1000件と増加傾向にあるようです。

 

報道発表されている中では実地調査までは行かなくても、簡易な接触による調査という項目がありこの件数は約2000件と前年より800件程増加しております。

名古屋国税局管内では年間で約19,000件の相続税の申告書が提出されていることから、実地調査と簡易な接触を含めると約3000件(全体の15%程度)は何らかの指摘を受けていることになります。

 

簡易な接触での調査にて指摘が多い財産の傾向としては①相続時精算課税制度を受けた財産の申告漏れ、②生命保険金など支払調書で把握出来る財産の申告漏れ、③土地の評価誤りなどが挙げられます。特に忘れがちなのが相続時精算課税の適用を受けた財産です。この制度は平成15年から始まった制度ですが、時間が経過しているため、相続税の申告書の取りまとめを行っている代表相続人以外の方が適用を受けている場合は当初申告から漏れやすくなるため注意が必要です。

 

実地調査で指摘が多いのは、家族名義預金やタンス預金、金地金など顕在化しにくい財産の申告漏れが多くなり、仮装、隠蔽を行っていた場合に課される重加算税の賦課を念頭に調査が行われます。相続人が50万円単位で複数回出金している場合などは、目に留まりやすく実地調査を受ける可能性が高いため、なるべく不透明な現金出金は避けるようにしましょう。

 

もし相続発生後に不透明な現金出金や家族名義預金などの存在が判明した場合は、税務署だけではなく相続人間トラブルにも発展することもありますので、出来る限り相続を専門とする税理士に相談してみましょう。