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不動産購入による節税の注意点(貸付事業宅地等の改正)

前回ではタワーマンションを使った節税が行き過ぎた節税か否かと言うテーマで記事を書きました。

建物の固定資産税評価額は実際の購入価格と比べると一般的に半分以下の評価額となりかなり圧縮されます。

これに加えてタワーマンションは高層階になればなる程、販売価格の床面積の坪単価が高額になります。一方、固定資産税評価額は構造が同じであれば販売価格には比例せず一定の評価額になりますのでこの差額を利用した節税となります。

更にマンションには敷地権と言う土地の持分もあります。自宅として利用していれば330㎡までの敷地を80%減額出来る小規模宅地等の特例も使うことが出来ます。またマンションを賃貸していれば貸家建付地として15%~20%程度の評価減が出来るほか、選択で200㎡まで貸付事業用宅地等として50%の評価減額をすることが出来ます。購入資金を借入金などで賄えばかなり相続税の課税価格を減らすことも可能です。

 以上のように不動産を購入することで、相続税を相当額節税出来るのですが、令和341日以降の相続については相続開始前の3年以内に貸付事業を始めた場合、税制改正により例外を除き、貸付事業宅地等の特例が出来なくなっております。これは平成30年に決まっている税制改正になりますが、3年間は猶予期間がありましたので現在では貸付開始から相続開始まで3年以上経過する必要があります。 図のケースは相続開始3年以内に新規で貸付事業を始めているので貸付事業用宅地の小規模宅地等の

特例は適用出来なくなりました。

  勿論、相続開始前より3年間以上事業的規模で貸付事業を行っている方が、新しく貸付物件を購入した場合は節税だけを目的とすると言うより事業の拡大という側面があるので、この場合の新規購入物件には貸付事業用宅地の適用は出来ることになります。

なお事業的規模とは不動産所得の青色申告の65万円の基準と同様にマンションなら5棟又は10室(駐車場であれば5台分を1室と換算)で計算します。

 

このようにせっかく相続対策として不動産を購入しても相続開始前3年以内に入ってしまうと、改正された規定に該当して小規模宅地等の適用を除外されてします可能性もあります。相続開始前3年というのは贈与加算でもあるように気をつけるべき時なのかもしれません。相続対策などはやはり早めの準備が必要です。