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相次相続控除の概要について

相続と言うのは一生の中でも1回か2回経験すると言われていましたが、家族関係が多様化する中で両親以外にも独身の兄弟間や養子関係の相続も増加し、短い期間の中で立て続けに発生する場合も増えてきました。また相続税を考えると3回相続があると資産は殆どなってしまうと言われていました。

 実際に不動産の割合が多く預貯金が少ないと相続税の支払のために土地を売却しなければならず、資産が相続の度に減っていってしまいます。これが余り短期間に続くのは酷であると言う観点から、相続税の負担が過度とならないように連続して相続が発生した場合には相次相続控除と言う制度が設けられております。

 

相次相続控除とは、今回の相続開始前10年以内に被相続人が前の相続にて相続税を支払っていた場合、前回に支払った相続税の一部を控除出来るものです。計算式上記の式になりますが、簡単に言うと前回支払った今回亡くなられた被相続人が支払った相続税のうち10年間の内は一定の金額を控除出来るものです。

 

この一定金額は前回の相続税額の内1年経過するごとに10%ずつ控除額が減額していき10年経過すると控除する金額が0円になります。

 

例えば今回亡くなられた被相続人が7年前に相続税を1000万円納税していたとすると、前回相続から7年経過していますので70%を減額した300万円が相次相続控除額として減額出来る金額です。 

少し簡単にしておりますが、1次相続の時に1億円の財産を相続して1000万円を納税していたならば、9000万円が実質的に相続した財産となります。もし2次相続時に被相続人の固有財産を足しても9000万円ない場合は相続財産がかなり目減りしたことになりますので前述の計算式のとおり圧縮計算を行います。前回の相続で税引き後の金額で手元に残った以上の財産が2次相続時に残っていれば、単純に1年経過で10%ずつ相続税を減らして計算した金額でよいでしょう。

 

それでは103回以上の相続税が発生した場合はどうなるのでしょうか?

例えば、9年前に曾祖父が亡くなり、6年前に祖父が亡くなり今年に父が亡くなった場合は祖父が支払った相続税と父が支払った相続税が相次相続控除の対象となります。

年齢的に10年間に3世代間で相続が発生することは稀と思われますが、祖父、祖母、両親と短期間に亡くなられる場合も時としてあります。

相続税の第7表様式では10年間に3回以上の相続が発生した場合には記載出来るようにはなっておりませんが、第7表を各被相続人の数に合わせて複数枚提出することになります。

このように、10年に複数回相続が発生していると相次相続控除というものを適用し忘れてしまうこともあれでしょう。もし適用出来るのに適用していなかった場合は相続税の申告期限から5年間は更正の請求により税額を減額することが出来ます。

税額控除なので影響が大きいですので、心当たりがあれば確認してみると良いでしょう