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住宅取得資金の贈与を受けた年に贈与者が死亡した場合

住宅取得資金の贈与を受けた年に贈与者が死亡した場合

 

今年も確定申告期限が415日まで延長されましたが、最近贈与に関する相談が増えてきましたので少し贈与の事例を説明したいと思います。

まず、基礎知識として贈与税の基礎控除は110万円ですので、贈与を受けた財産の価格が110万円未満であれば、贈与税申告の必要はありません。

 

次に相続税の規定では財産を取得した相続人が亡くなられた方から過去3年間の間に贈与を受けた財産は相続税の財産に加算しなければならないことになっております。

これは110万円の基礎控除以内の贈与であっても加算対象となります。この部分を勘違いされておられる方もいるのではないでしょうか。

 

それでは、住宅取得資金の非課税制度の適用を受けた贈与はどうでしょうか?

住宅取得資金贈与の非課税制度とは直系尊属(両親・祖父母等)より住宅取得の為に金銭等の贈与を受けた場合は令和3331日までの契約であれば省エネルギー住宅で1500万円、一般住宅でも1000万円の贈与までは一定の要件のもとで申告をすることで贈与税は非課税となる制度です。(令和34月以降に契約した場合の非課税枠は省エネ住宅で1200万円、一般住宅で700万円になります)

 

この制度は根本的に非課税なので高額な現金預金等の贈与を受けても非課税枠までは贈与税が発生しないだけではなく、贈与者が贈与日の3年以内に死亡した場合にも相続税の財産に加算する必要はありません。

 

これは婚姻期間20年以上の配偶者に対する居住用財産の特例も同様で、非課税となった部分は相続税法の規定で特定贈与財産となり、相続税法の規定により贈与加算する必要はなくなります。

 

それでは、令和3年中に住宅取得資金の贈与を受けた場合で、その同年に贈与者が死亡した場合、相続税の申告書作成時点では贈与税の申告手続きを行っておりませんが、相続財産に加算しなくてもよいでしょうか?

 

結論としては贈与者が申告期限(例の場合は令和43月)までに贈与税の期限内申告書を提出することで相続税の贈与加算の必要がなくなります。贈与があった年分に贈与者が死亡し、相続が発生した場合(財産を取得した場合)は、相続財産に加算されるため、改めて贈与税の申告書の提出の必要はありませんが、非課税の特例を受ける場合は必ず贈与税の申告期限までに申告書を提出するようにしましょう。

このように一般の贈与であれば110万円未満でも相続財産に加算しなければならない一方

住宅取得資金であれば仮に贈与直後に贈与者が亡くなられてしまっても、相続財産に加算しなくても良いことになります。

 

 

住宅取得資金非課税制度は、生前の相続対策になりますので出来るだけ有効に適用していきたいものですね。