低未利用土地を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除について
今年も2021年税制改正大綱発表の時期ですね。資産課税の分野では地価が上昇した土地においても固定資産税の負担増を1年間は凍結することになった以外に大きな改正は見られませんでした。
今回は2020年の改正事項である「譲渡所得の低未利用土地を譲渡した場合の特別控除」についてお話します。
低未利用土地とは都市計画区域内にある土地で居住用家屋や事務所、工場等の敷地として利用されていない土地、いわゆる「空き地」のことになります。
低未利用土地の特別控除が創設された背景には空き家問題と同様に相続などを機として管理できていない土地が増加して有効利用が出来ていない事があげられます。
このような空き家を含む未利用土地が増加すると「草木が伸び放題」、「景観の悪化」「ゴミの不法投棄の誘発」「治安の悪化」などの問題を引き起こすと言われており、これら解決するため、その土地を有効利用できる者に対して土地を譲渡した者には100万円の所得控除というインセンティブを与えて土地の有効利用を促進するように改正されました。譲渡所得において100万円控除の特例を受けると税額では国税及び市県民税で約20万円の節税になります。
「低未利用土地の特別控除」の主な要件は次のとおりです。
1:令和2年7月1日以後の譲渡であること。
2:譲渡した土地は5年以上保有しているものであること。
3:譲渡した土地は都市計画区域内にある土地であること。
4:譲渡の対価は500万円以下であること。
5:譲渡した土地は買主により利用されていること。
6:買主が一定の親族以外の者であること。
7:買替えの特例を受けていないこと
低未利用土地の特別控除を受けるためには上記要件に該当することを証明する「低未利用土地等確認申請書」をその土地の所在地の市町村長に提出し、確認を受けた書類を添付する必要があります。
これは空き家を譲渡した場合に必要な「被相続人居住用家屋等確認書」の手続きと同じで譲渡した方が申請書を作成して特例要件が確認できる書類を添付する必要があります。
特例要件に該当するか分からない、確認申請書の手続きが分からない等の質問は、資産税専門の当事務所にお尋ねください。(初回相談は無料で行っております)
なお、本年は税務署が開催する申告会場も新型コロナウイルス予防の観点から来場制限等を行う可能性もありますので、譲渡所得に関するご相談、対策はお早めに準備されることをお勧めします。