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有効贈与の分岐点について

有効贈与の分岐点

 

アメリカ大統領選挙は熱い戦いを繰り広げていますが、日本では11月になり秋も深まり寒気も入って寒いですね。

 

今回は基本的な暦年課税による贈与は節税に有効かどうかを検証していこうと思います。

一般的に贈与税は高いと言うイメージがあるのではないでしょうか?

はたして本当でしょうか?

 贈与税の規定をしているのは相続税法になります。実は贈与税と呼ばれているけれども贈与税法という法律はないのです。贈与税は相続税の補完税という考え方に基づいているため、贈与が節税に有効か否かは相続税と一体で考えなければ、現在の相続税の仕組みでは検証が出来ないということになります。

 

それでは実際の金額を例に検証してみましょう。例えば現金1000万円を1人へ贈与した場合、暦年贈与であれば110万円の基礎控除を差し引いた後に税率を掛けた税額は231万円となります。また20歳以上の直系卑属(子や孫)に贈与した場合は特例税率(30%)が適用されますので贈与税の金額は177万円になります。

 一方相続により1000万円を取得した場合、その他に目立った財産が無い場合は相続税の基礎控除が3000万円(プラス相続人1名あたり600万円を加算)あるため、相続税はかかりません。

 これだけみるとやはり贈与税は高いと感じることになるでしょう。

平成27年以前は基礎控除が5000万円あり、相続税のかかる人は少なかったため、なおさら相続で貰った方が、税金が安いというのが実感だったのではないでしょうか。

 現在では基礎控除が3000万円となり、相続税の課税対象者が約2倍になったと言われております。こうなると相続で取得しても、相続税がかるので贈与税とではどちらが特かの損益分岐点を考えていく必要が出てきます。

 

例えば親の財産が1.5億円で相続人が子2名と仮定するとき、相続税の総額は約1840万円となります。この相続税の計算では30%の税率が適用されております。こうなると1000万円を贈与した時の特例税率の30%と同じとなります。

 そうであるとすると簡単に言うと贈与税の税率が相続税の税率30%より安い場合は贈与税の方がより安くなり、節税ができるということになります。

もし500万円を贈与した場合の税額は485,000円(特例税率15%)になるため、同額を連年に贈与した場合はより節税になるということです。また、どれくらいの金額を何年に分けて贈与するかも検討が必要になってきます。

 

贈与の目的は節税だけではなく、相続税の納税資金をあらかじめ贈与して準備しておくことも有効ですし、贈与を前倒しで行うことで、遺産分割協議の負担の軽減にも繋がります。

 

生前相続対策は、相続に詳しい専門家に依頼して事前に試算することをオススメします。