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教育資金の一括贈与について

「税理士業務って一般的に確定申告期の2月から3月が忙しいんじゃない?」と思われる方も多いと思います。また、法人の決算は3月が多いため法人税の申告期限の2ヶ月後にあたる5月に仕事が集中するというイメージもあるでしょう。11月以降は年末調整の事務であったり、1月は法定資料業務も加わってきます。

このように税理士・会計事務所はこれらの事務がない6月から10月は閑散期といわれております。

 

ただ、相続税を中心業務としていると業界の流れとはあまり関係がなかったりします。

資産税中心の事務所だと意外と7月が忙しいということもあります。(もちろん依頼件数が沢山あればですが・・・)7月と言えば路線価の発表時期です。1月から3月に相続が開始した場合で早めにご相談頂いたとしても、令和2年分の路線価の発表を待たないと申告書の作成が完了出来ないというケースは良くあります。折角、申告書を完璧に作成したつもりでも、路線価等の評価額が変ってしまうと全部変更して再度チェックしてお客様に説明しないといけないので、7月に書類を見直し、そこから再始動ということはよくあります。

 

ところで、今日は教育資金の一括贈与についてお話したいと思います。

この特例は平成25年に創設されたもので直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合は

1500万円までは贈与税を課しませんよ、というものです。現在は一部改正を経て令和3年末まで延長されております。具体的には教育資金の口座を銀行等に開設して銀行に教育資金を預ける信託契約をしなければいけませんが、その期限が令和3年まで延長されたということです。

 

この特例の最大のメリットは大きな資金を一括に贈与を受けても贈与時に贈与税がかからなく、かつ贈与者にも相続税がかからないという点で主に富裕層向けの節税として使われてきました。但し平成31年の改正であまりにも過度な節税に使われると言う点で①贈与者が死亡した場合に受贈者の口座に残高がある場合はその残高は相続等により取得したものと見なされるように一部改正されております。非課税資金の拠出した時期や受贈者の年齢にもより取り扱いが異なりますので注意が必要です。

そのほかにも、受贈者の所得制限が設けられ1000万円以上所得がある場合は特例が受けられないようになっています。今までなら受贈者が30歳以下であれば所得が1000万円以上あっても、教育資金の範囲内には習い事等に支出するケースも認められていたので、ちょっと行き過ぎな相続税対策の感じはありますよね。

 

それではデメリットはなんでしょうか?

勿論、将来残高が残っていれば課税を受けるということもありますが、これ以外にも銀行と結んだのは教育資金の贈与にかかる信託契約なので通常の預金のように自由に引出し使うことはできず、手続きが煩雑ということが揚げられます。

 

銀行には直接口座から教育資金を引き落とす方法以外にも事前に預金を引出し、後日領収書を提出するという方法もあります。この場合に引出した金額と領収書の金額に相違があると、実際の口座残高と将来の課税される残高に相違が出る場合もあります。例えば口座を管理する親が二男の塾代として年間30万円支払うつもりで預金を引き出したら、兄弟割引があって24万円で安く済んだというケースは聞いたことがあります。この場合、口座残高は30万円減少しても、領収書は24万円となりますので、銀行等が管理している教育資金の残高は6万円の差額が出ることになります。このように贈与を受けたはずなのに、管理する親の手間や使い勝手の悪さから、途中解約したくても原則は受贈者との信託契約が終了する30歳までは解約できないなど、思っていたものと違うということで銀行とトラブルとなるケースもあるようです。

 

平成2512月の国税庁発表の「扶養義務者から生活費又は教育費の贈与を受けた場合の贈与に関するQ&A」によると【扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち 「通常必要と認められるもの」については、贈与税の課税対象となりません。  「扶養義務者」とは、次の者をいいます。 配偶者 直系血族及び兄弟姉妹 家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族 三親等内の親族で生計を一にする者 なお、扶養義務者に該当するかどうかは、贈与の時の状況により判断します】との記載があります。

 

これによると祖父母も扶養義務者であるので必要な教育資金のその都度の贈与は非課税ということになりますね。

 

多額な一括贈与となると遺産分割時に揉める要素にもなりますし、学校入学、進級等の必要な都度に贈与を受けた方が円満な家族関係を保てる場合もありますので、教育資金の贈与を考えておられる方は一度ご相談ください。