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贈与税の2000万円特例は使うべきか

 6月になって急に道路工事や建築関連工事が再開したこともあって、朝は以前のような渋滞が戻ってまいりました。

また、ここ数日は冬から止まっていた季節が一気に動き出し、真夏のような暑さで、ついマスクをわすれがちになってしまいます。

今度、冷やしマスクを探してこようと思います。

 

 今日のテーマは婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用財産を贈与した場合に係る2000万円の控除特例についてです。平成27年に相続税の基礎控除は引き下げになって以来、節税対策としてこの特例を使われた方も多いでしょう。この配偶者間の贈与のメリットのひとつとして相続税のかかりそうな方財産を減らすことを目的にされる方も多いかと思います。また通常では贈与者が亡くなる前3年間の贈与については相続税に加算しなければならい「3年内贈与加算」というものがありますが、この特例を使った場合、「特定贈与財産」となり、3年以内の贈与の加算から外れることになりますので、ある程度の節税メリットはあると思います。

 

 それならば、すぐにでも配偶者へ居住用財産を贈与しよう!となる訳ですが、特例というものはメリットだけではなくデメリットも必ずありますので良く検討しなければなりません。まず、一方の贈与者の財産を減らすことが出来ても、もう一方の財産は増えることになりますし、夫が先に亡くなった場合は二次相続では妻の財産が増えて課税されることになってしまいます。配偶者間の相続では1億6千万円までの控除がありますので、結果的には、そんなに税額も変らないということになってしまうかもしれません。

 

 また贈与すれば不動産取得税や登録免許税がかかります。不動産取得税は相続であれば非課税ですが、贈与の場合は固定資産評価額(課税価格は更に2分の1)の3%かかります。登録免許税も固定資産評価額の2%かかります。そうなれば、例えば2000万円の評価額の不動産を贈与するとなると、不動産取得税や登録免許税のほか司法書士への手数料、申告を税理士に頼めば税理士報酬などで100万円近い出費になってしまうかもしれません。相続人の数にもよりますが、遺産総額が5000万円前後ですと相続税の税率も10%程度なので、本来の相続税より高くつく場合もあるかもしれません。また、居住用財産であれば、配偶者は、ほぼ無条件で相続時に小規模宅地の特例(一定面積まで評価額の80%減)も使えますので、あまり節税の観点からはお勧めは出来ないところもあります。

 

 但し、もしこれから居住用財産を取得しようという時に、建物の建築資金として贈与する場合などは、現金が建物に変った時点で固定資産税評価額はかなり下がるので節税メリットはあるでしょう。更に、これから居住用不動産を売却しようとしている場合に、事前にこの特例を適用して贈与しておいた場合、売却時の譲渡所得の居住用の3000万円の特例が二人分の6000万円まで使えることにもなりますので、この場合の譲渡所得税はかなりの差額になると思われます。

 ほかにも、熟年離婚を考えておられる場合に、財産分与で分けるか、離婚前に配偶者控除をつかって清算するかなど、多岐に渡ってこの特例を利用する方法が考えられます。

 

 居住用不動産の取得、贈与などをお考えの方は、長期的な視野をもってメリット・デメリットを含めた総合的な対策プランを提供できる資産税専門税理士に相談することをオススメします。初回相談は無料です。HPメールでは24時間ご相談を受け付けておりますのでお気軽にご相談ください。