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配偶者居住権は使うべきか

みなさんこんにちは。相続専門の税理士岡本です。

最近は毎日、世界中で新型コロナ禍のニュースばかりですね。

そういえば、1月にあったオーストラリア森林火災はどうなったのだろうとか、今、コロナ以外に世界で何が起きているのか、見失いそうです。

 

このような混沌とする中ですが、相続法の改正により創設された配偶者居住権が令和2年4月1日に施行されました。配偶者居住権とは簡単に言うと、自宅の所有権と

住む権利(居住権)を2つに分けたもので、配偶者居住権も遺産分割協議の対象となり、所有権と同じく法務局で登記をすることも出来ます。

 

そもそも配偶者居住権が新設された経緯を考えてみると、平成25年の最高裁判所の「非嫡出子(婚姻外子)の相続分は嫡出子の2分の1」と定める民法の規定は

違憲である、という判例に遡ります。

この判例により婚姻外で生まれた子であっても民法上の相続分は判決前より多くの権利が得られる反面、残された配偶者は血縁関係の無い子に対して、より多くの財産を

渡さなければならなくなり、自宅しか財産がないようなケースでは自宅を売却することによらないと遺産分割ができないような事態も想定されるようになりました。

 

そこで、平成27年から始まった法制審議会民法部会では配偶者の相続分を従来の2分の1から3分の2まで引き上げようという論議が始まりました。ただしこの議論は家族関係

が多様化する中で配偶者のみを優遇するということに対して反対意見もあり、実現しませんでした。

 このような経緯から考えられたのが配偶者居住権です。居住用財産を売却することなく、住み続ける権利を所有権と分けて相続するという考えです。

 

今回のテーマである「配偶者居住権は使うべきか」についてメリット・デメリットは色々な方面からのアプローチがあると思いますので、ここでは主に税金を中心に考えてみたいと思います。

(配偶者居住権の評価方法は配偶者の年齢等(余命年数)によっても変ってきますが、詳細の評価方法はここでは割愛させて頂きます)

 

ますメリットとして配偶者居住権を相続した配偶者が亡くなった時点(二次相続時)でこの居住権は消滅しますので、これを使うことで、二次相続まで考えた全体の相続税額を

節税することが可能となります。通常相続は一次、二次相続の分割仕方によって税額も大きく変動しますが、一次相続で取得した財産の評価額が二次相続時点で0円になって

しまうのが配偶者居住権の大きな特徴です。勿論、節税だけでなく住み慣れた自宅に継続的に住むことが出来て、自宅以外の財産の取得できる権利も増える場合もあり、安定的

な配偶者の生活が保護されることになります。

 

これだけ聞くと配偶者居住権は節税に使えそうと思うかもしれません。デメリットとしては、もし配偶者が居住権を放棄した場合や他の相続人と合意で居住権を消滅させた場合などは

所有者に対して配偶者居住権を贈与により取得したものとみなしという規定が、相続税基本通達に設けられましたので注意が必要です。

更に相続税・贈与税の観点のみならず、配偶者居住権を設定することで自由に売却が出来なかったり、実際に居住していない所有者が固定資産税等の維持管理費を負担しな

ければいけないなど、不都合も生じることになります。

 

 配偶者居住権の創設趣旨から考えると先妻(夫)の子や婚姻外子がいるようなケースおいて民法上の権利を主張される場合に配偶者の居住地を保護する観点から作られた

経緯もあるので、節税のみにとらわれることなくデメリットも考えながら慎重に選択する必要があります。 所有者である子が同居している場合などは、二次相続時に小規模宅地等

の特例の特例を使える可能性がありますのでこれら特例と併せて考えるとよいでしょう。

 生前相続対策は相続専門の税理士が相談に対応いたしますので、お問い合わせ下さい。